介護施設での仕事の一つに、服薬介助があります。利用者によっては上手に薬が飲めなかったり、服薬そのものを嫌がられることもあります。服薬介助は薬を飲む人を見守り、誤嚥などのトラブルが起きないようにするのが仕事なので、強引に飲ませることはできません。しかし、薬を飲まなければ体調不良に陥るおそれがあります。利用者が自分から薬を飲んでくれるように誘導したり、飲み込みやすくする工夫を施すなど介護スキルが重視されるのが服薬介助の本質です。薬を飲むことを嫌がる要介護者に対しては粘り強く説得し、薬を飲むことの重要性を理解してもらうことがもっとも効果的な方法です。適当な事を言ったり脅したりするのは本質的な解決にはなりません。あくまでも要介護者自身に薬を飲もうと思ってもらうことが重要と言えます。
飲み込む力が弱くなっているなど、体調の問題で薬が飲みにくい要介護者に対しては医療用のとろみ剤を加えたり、口の中に湿り気を保つなどの対処が効果的です。とろみ剤は、利用者の誤嚥を防止するために有効な添加物です。薬の成分に影響しない味付けが施されているとろみ剤もあるので、利用者の好みに合わせて調整することもできます。高齢の利用者は唾液の分泌量が少ない傾向があるので、物を飲み込みにくくなっています。口の中を湿らせる薬剤を使うことで服薬が容易になりますが、利用者がどうしても薬を飲むことができない場合は無理強いせず、医師に相談するのが介護士の務めです。服薬介助をもっとマスターしたいなら、「服薬介助の基本知識」も一読の価値があるでしょう。